就労移行支援と就労継続支援の違いとは?特徴やどちらを選べばよいかを解説
就労移行支援と就労継続支援はいずれも障害者を対象とするサービスですが、サービス内容や対象者、目的がそれぞれ異なります。それぞれの特徴や違いを分かったうえで比較検討するとよいでしょう。
今回は、就労移行支援と就労継続支援の特徴について解説します。サポート内容やメリット・デメリットについて詳しくご説明いたしますので、ぜひ参考にしてください。
目次
就労移行支援と就労継続支援の違いを比較
就労移行支援と就労継続支援の違いを下記の表にまとめました。就労継続支援は、就労継続A型と就労支援B型に分けられます。それぞれの特徴について確認しましょう。
就労移行支援 | 就労継続支援A型 | 就労継続支援B型 | |
目的 | 一般企業に就労するための技能や知識を学ぶ | 生産活動や就労の機会の提供 | 生産活動や就労の機会の提供 |
対象者 | 一般企業に就労を希望する障害者の方 | 障害者の方で一般企業への就職が難しい方又は不安な方 | 障害者の方で一般企業への就職・就労継続支援A型への通所が難しい方又は不安な方 |
雇用契約 | なし | あり | なし |
賃金 | 基本的になし | あり | あり |
平均月収 | なし | 79,625円 (令和2年度) |
15,776円 (令和2年度) |
対象年齢 | 18歳から65歳未満 | 18歳から65歳未満 | なし |
利用期間 | 原則2年間(延長あり) | なし | なし |
就労移行支援とは
就労移行支援にはさまざまなメリットがあり、サポート内容や対象者、利用するメリットなどを知っておくと就職を有利に進められます。
概要
就労移行支援とは、障害者の方が就労に向けたトレーニングを行ったりスキルや資格を身につけたりする支援サービスのことです。障害者手帳がなくても利用できますが、その場合は医師の診断書や意見書が基本的には必要です。
就労移行支援は、就労を希望しているものの、精神的・身体的な障害が原因でなかなか働けないという方を対象としています。就労移行支援は一歩を踏み出せない方を後押しするためのサービスです。
サポート内容
就労移行支援での主な取り組みは、就労に向けたトレーニングです。定期的に事業所に通う必要があるため、生活リズムが整います。就職していない方のなかには昼夜逆転して生活している方もいます。就労に向けて生活習慣の改善、体力づくりから始めることが大切です。
事業所では、ビジネスマナーや挨拶、パソコンスキル、身だしなみ、社会生活技能訓練、集団ワークなどを学べます。単にトレーニングを行うだけでなく、実際の職場を見学したり、職場実習を行うこともあり、仕事の雰囲気もつかめます。
また、就労移行支援では、面接対策や応募書類の添削アドバイスなども行います。履歴書の書き方なども指導してもらえるため、就職の仕方について悩む必要はありません。さらに、スタッフが面接へ同行することもあります。就職するまでのサポートだけでなく、就職後の職場定着支援も行います。働き始めてからも、仕事の不安や人間関係の悩みについて相談に乗ってもらえます。
対象者
就労移行支援は、就労意思のある65歳未満の方を利用対象者としています。主に精神障害や発達障害、知的障害、身体障害の当事者が利用しています。障害者総合支援法の対象疾病になっている難病の方も対象です。手帳の有無は関係なく、医師の診断書があると利用できます。
利用料
利用料は、本人または配偶者の所得により異なります。利用料がかかるケースがありますが、多くの場合は自己負担なしで利用できます。生活保護を受給している方や低所得の方が利用する場合は、費用の負担はありません。
市町村民税課税世帯(収入おおむね600万円以下)の方は、上限月に9,300円までの負担額が発生します。それ以外の方でも上限が37,200円と設定されているため、利用料についてあまり心配する必要はないでしょう。
利用するメリット
就労移行支援を利用することには、さまざまなメリットがあります。具体的にどのようなメリットがあるかを確認しましょう。
自己管理能力が身につく
就労移行支援を利用すると、自己管理能力を身につけることができます。就職する際は、ご自身に適した仕事を決めなければなりません。自己管理力を身につけることで、ご自身の苦手な部分や得意な部分を発見できます。
生活が整い健康になる
就労移行支援に通うと、健康的な生活を送ることが可能です。働いていない状態では昼夜逆転してしまい、寝不足になったり規則正しくご飯を食べられなかったりします。毎日通所することで、生活リズムが整い健康状態が改善されます。
また、毎日規則正しい時間に起床する習慣は、仕事を続けるうえでは非常に重要です。能力があっても毎日会社に遅刻していては問題です。就労移行支援事業所に遅刻せずに通所できているということが就職活動のアピールポイントになります。
周りから理解を得られる
就労移行支援事業所に通うことで、障害について理解のある人からサポートを得られる、というメリットがあります。事業所では気軽に相談に乗ってもらえるため、安心して悩みを聞いてもらえます。障害のことについて詳しいスタッフに相談することで、不安なく就職活動を進めることができます。
社会性が身につく
就労移行支援を利用すると、社会性を身につけることができます。仕事をするうえでは、一定のコミュニケーション力が必要です。就労移行支援事業所ではスタッフと話したり、他の利用者さんと一緒にプログラムを受講する機会があります。社会性を身につける場所として、就労移行支援所はおすすめです。
利用するデメリット
就労移行支援事業所に通うのは、メリットだけでなくデメリットもいくつかあります。具体的にどのようなデメリットがあるかを確認しましょう。
長期間通う必要がある
就労移行支援事業所では、スタッフが利用者さんの状況を確認しながら、無理なく仕事に就いていただけるようにアドバイスを行います。そのため、一刻も早く仕事につきたいという方には適していない場合があります。就労移行支援事業所を利用する以上、少なくとも数か月程度はトレーニングに費やすことになると認識しておくとよいでしょう。
利用期間中は収入が発生しない
就労移行支援事業所に通うさいは、基本的にアルバイトを行えないため無収入の状態になります(一部、アルバイトが認められている事業所もあります)。就労移行支援のサービスを受けるさいは、その間の生計について事前に考えておく必要があります。
利用料がかかるケースがある
事業所を利用する当事者と配偶者の前年度の収入により、就労移行支援の利用料が変動します。前年度収入が一定額ある場合、高額ではないにしろ毎月の出費となるので注意が必要です。生活保護を受けている方や前年度の収入が無い方、前年度の収入が一定額に満たない場合は、毎月の利用料はかかりません。
就労継続支援A型とは
障害を持っている方のためのサービスとして、就労継続支援A型という制度があります。就労継続支援はA型とB型に分けられますが、ここでは就労継続支援A型のサポート内容や対象者、メリット・デメリットについて解説します。
概要
就労継続支援A型は、一般企業で働くことが難しい方を対象とした福祉サービスです。障害者手帳を持っていなくても、医師の診断があると利用できます。一般企業での就職先が見つからなかった方や一般企業で働く自信がない方などに幅広く就労機会を提供しています。
就労継続支援A型の事業所で働くさいには、障害特性に起因する困りごとについて、専門的な知識を持ったスタッフからサポートを受けることができるので、安心して働けます。
サポート内容
事業所と雇用契約を結ぶことが可能なため、最低賃金以上の収入が得られます。パンやお菓子の製造工場、食堂のホールスタッフ、パソコンデータ入力、清掃、配達、各種軽作業など、事業所によって多様な業務を実施しています。出勤日数は、一般企業よりも融通が利き、週5日間のフルタイム勤務から3日程度の勤務まで、事業所と相談して決めることができます。1日の勤務時間についても同様で、4時間程度の短時間勤務が可能な場合もあります。
対象者
18歳~65歳までの障害を持っている方、難病がある方が利用対象者です。65歳以上の方でも、65歳になるまでの5年前までに障害福祉サービスの支給を受けていた方は、引き続きサービスを受けられます。
利用料
就労継続支援A型の利用にさいしても利用料がかかりますが、金額は各事業所により異なります。低所得者もしくは生活保護受給者の場合はサービス利用料が無料ですが、事業所がすべての利用者さんの利用料を負担している場合もあり、そのさいは無料で利用が可能です。
利用するメリット
就労継続支援A型を利用する具体的にどのようなメリットがあるかを確認しましょう。
スキルが身につく
職場で働くため、実践スキルが身につきます。毎月収入があるだけでなく、就労を通して日々トレーニングを繰り返せるのが大きなメリットです。職場で経験を積んでから、一般就労に移行する、というケースもあります。
サポートを受けながら働ける
障害特性に起因する困りごとに対してサポートを受けながら働けるのもメリットです。障害を持っている方ならではの悩みについて専門のスタッフが対応してくれるので、不安を持っている方は就労継続支援A型を利用しましょう。
賃金が保証されている
最低賃金が保証されていることも大きなメリットです。基本的に報酬が発生しない就労移行支援と違い、生活費に困窮している場合にも利用することができます。単に働くためのスキルを身につけるだけでなく、生活費を稼ぐことは自信にもつながります。
利用するデメリット
就労継続支援A型はメリットだけでなく、デメリットもいくつかあります。
労働契約に従う必要がある
障害者のためのサービスとはいえ、労働契約に従う必要があります。一般企業に就職した場合と同じく、定められた勤務日数や勤務時間に従って仕事に従事しなくてはなりません。
一般就労よりも賃金が少ない
一般就労よりも、賃金が比較的少ないのがデメリットでしょう。就労継続支援A型に通所している方の月収平均賃金は約8万円となっています。障害年金など、他の所得がないと生活できない場合があります。
採用面接がある
就労継続支援A型の事業に利用を申請するだけでは、採用されません。就労継続支援A型の求人依頼からエントリーし、一般企業へ就職する場合と同じように、採用面接に臨む必要があります。
就労継続支援B型とは
就労継続支援には、A型とB型の2種類があります。ここでは就労継続支援B型の概要やサポート内容、対象者、メリット・デメリットについて解説します。
概要
就労継続支援B型は難病や障害のある方で、一般企業や就労継続支援A型で働くことが難しい方を対象とした福祉サービスです。生産活動の場を提供し、自立的な社会生活を送るための支援を目的として運営されています。障害者手帳は必須ではありません。主治医の診断書があると、就労継続支援B型の事業所を利用できます。
サポート内容
就労継続支援A型と似ていますが、就労継続支援B型は雇用契約の定めがありません。したがって、体調に応じた融通のきく働き方が可能なため、負担が少ないというメリットがあります。農業や食品加工、データ入力、洗車、清掃などの業務を実施している事業所があります。
対象者
障害特性などで一般企業や就労継続支援A型で働くことが難しい方を対象としています。
基本的には18歳以上を対象としていますが、場合によりそれ以下の年齢の方でも利用できるケースがあります。
利用料
利用料は、前年の所得によって異なります。基本的にはサービス料の負担額は1割負担ですが、前年の所得が無い場合、あるいは生活保護や低所得者世帯に該当すると利用料は無料です。利用料を支払う場合でも上限が定められているため、高額にはなりません。
利用するメリット
就労継続支援B型を受けるメリットはいくつかあります。利用するとどのようなメリットがあるかを確認してください。
障害特性に応じた働き方
雇用契約を結ぶ必要がある労継続支援A型と比較し、相談次第ではありますがより障害特性に配慮した働き方を選択できます。1日の作業時間を短時間にして、残りの時間は事業所内でスキルの学習をおこなう、といったことも可能です。
社会のコミュニケーションに参加できる
就労継続支援B型を利用した場合、事業所のイベントや共同事業などでたくさんの方とコミュニケーションを図れます。社会に参加することで、孤立感が軽減されます。
利用するデメリット
就労継続支援B型はメリットだけでなく、デメリットもいくつかあります。
賃金が安い
雇用契約を結ぶ働き方ではないため、就労継続支援B型で取得できる工賃は一般企業や就労継続支援A型での賃金に比べ安価です。働き方の自由度は高いものの、一定の収入を得たい場合には一考が必要です。
就労移行支援と就労継続支援はどちらを選ぶべき?
就労移行支援と就労継続支援A型、B型を併用することはできません。いずれかを選択しなければなりませんが、就労移行支援から就労継続支援へ、ないし就労継続支援から就労移行支援へ利用を切り替えることは可能です。
一般企業の就職を前提とするのであれば就労移行支援を、収入を得ながら就労経験を積みたいのであれば、就労継続支援A型、B選択する、といったように、目標や状況に応じて自分に適した福祉サービスを選択するとよいでしょう。
まとめ
今回は、就労移行支援と就労継続支援の違いについて解説しました。それぞれの特徴とメリット・デメリットを理解して事業所を選択することをおすすめします。就労移行支援事業所 ソース堺東・三国ヶ丘では就労移行支援と就労継続支援のどちらを選択するか検討している、という相談も承っております。どうぞお気軽にご連絡ください。
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