就労移行支援事業所に通っても就職できない、無意味といった声がネット上でクローズアップされることがあります。役に立たない授業にそりの合わない福祉職員、皆さんの抱えるストレスフルな現実を想定しながら、当記事では就労移行支援事業所への不満を分析してみました。
目次
1.そもそも就労移行支援事業所ってなに?
2. 就労移行支援事業所の特徴・強みを知ろう
3.就労移行支援事業所が「意味ない」「合わない」と感じてしまうのはなぜ?
(1)自分の障害を受容できていない
(2)自分の目標と事業所の支援が合わない
(3)支援スタッフとフィーリングが合わない
(4)気持ちが焦って就職活動を早めてしまう
4. 就職する前に身につけたい3つのこと
(1)障害の受容ができていること
(2)体調の管理ができること
(3)企業、当事者双方でコミュニケーションが取れること
5. 就労移行支援事業所の活用方法・ミスマッチを防ぐためにできることってなに?
(1)自分の障害や特性を知る
(2)自分の経験・適性を知る
(3)スタッフと目標に向かって何ができるのか相談する
(4)長期的な目標をもつ
6.まとめ
1.そもそも就労移行支援事業所ってなに?
就労移行支援事業所とは、障害を持っている方に対する福祉サービスで、一般企業への就職を目標に、就職に必要な知識やスキル向上のためのサポートが受けられる学校のような施設です。具体的には、
・生産活動、職場体験等の活動の機会の提供の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練
・求職活動に関する支援
・その適正に応じた職場の開拓
・就職後における職場への定着のために必要な相談等の支援
といったサポートを行っています。
2.就労移行支援事業所の特徴・強みを知ろう
一般的な就労移行支援事業所であれば、利用者の方ひとりひとりが個別にPCを使える環境が整っています。
PCの基本的な使い方、およびWord(文章を書くためのソフト)、Excel(計算をしたり、表を作ったりするためのソフト)、PowerPoint(会議などの資料を作るためのソフト)等の操作を学ぶことができ、わからないところは支援員のサポートを受けることができます。
事業所によっては、Photoshop(画像の色味を調整したり合成処理をしたりするソフト)やIllustrator(イラストやロゴを描くソフト)、といったクリエイターやエディター向けのソフト、WordpressやDreamweaverといったWEB系のソフト、はたまたコンピューターのプログラミングを学習できるところもあります。
ソース堺東・三国ヶ丘でも、PhotoshopやIllustratorの基本的な操作方法が学べる「デザイン課」を毎週開催しています。
3.就労移行支援事業所が「意味ない」「合わない」と感じてしまうのはなぜ?
(1)自分の障害を受容できていない
障害を持っている方の就労移行支援事業所の利用、ひいては就職活動において、大変重要なのが「ご自身の障害の特性を客観的に把握している」ということです。自分の特性において困難なこと、働くうえで習得が必要なスキルなどが明確であればあるほど、効果的に就労移行支援事業所を活用することができます。ソース堺東・三国ヶ丘では、利用を検討されている方や利用を開始した利用者さんとの面談の機会を設け、ご自身の特性、どういったことに困っているのかといったことを丁寧にヒアリングしております。
(2)自分の目標と事業所の支援が合わない
一般的な就労移行支援事業所では、PCの訓練やソーシャルスキルトレーニングなど、様々なプログラムが開催されているかと思います。もちろん、すべてが自分の役に立つものとは限らないので、自分が困っていることや克服したいこと、身につけたいスキルなどに応じて、参加するプログラムを取捨選択する必要があります。しかし、自分の特性の把握が曖昧な状態では、どのプログラムに参加すべきか判断ができません。必要のないプログラムに参加して、就労移行支援事業所の訓練に意味を見出せなかったり、事業所自体が肌に合わないと感じ、疲れてしまうこともあるようです。
(3)支援スタッフとフィーリングが合わない
就労移行支援事業所にはさまざまなキャリアを持ったスタッフが在籍しております。利用者さんの特性や志望企業などに合わせて、スタッフのひとりが主担当となり、生活や就労に関する相談を行う、というのが一般的です。担当スタッフの決定にさいしては、その利用者さんに対してもっとも適切と考えられる人選を行っておりますが、フィーリングの合わないスタッフが担当についてしまった、というケースもごくまれに存在します。また、当事者自身の障害特性についての認識が曖昧な場合、スタッフも手探りの状態でサポートを行うことになるので、コミュニケーションエラーが生じてしまいがちです。
(4)気持ちが焦って就職活動を早めてしまう
就労移行支援事業所では、毎日事業所へ通所することによる生活リズムの構築、面談による障害特性、職業適性の把握、スタッフや他の利用者さんと話すことによるコミュニケーションのトレーニングなど、基本的な社会生活を無理なく送れ、そのうえで就職して長く会社で働くことができるような状態を築くための訓練を行います。これらのトレーニングには相応の時間を要しますので、ともすれば就労移行支援事業所での生活がじれったく、早急に就職活動を始めたい、就労移行支援事業所を利用しても意味がない、という思いにつながってしまうこともあるかと思います。たしかに企業に就職をすることを最優先すれば、すぐに採用がもらえることもありますが、あまりに急ぎすぎると、会社に入ったのちに生活リズムの急変に適応できなかったり、人間関係で多大なストレスをためてしまい、すぐに会社を辞めてしまう、といったことも少なからず起こります。ソースでは利用者さんの状態をしっかりと整えてから社会に送り出すために、「準備期」「実習期」「就活期」といった各段階を設け、それぞれのタイミングで最適なサポートを実施し、就職した会社で無理なく長期間にわたって働けるよう心掛けております。
4.就職する前に身につけたい3つのこと
そもそも、障害を持っている人が会社で働く上で、どんなことが必要となるのでしょうか。就労移行支援事業所を利用する最大の目的は、企業に就職することですので、就職にさいしてどんなことを身につける必要があるのかを知っておくことは、就労移行支援事業所を選ぶうえでも重要なポイントになります。
(1)障害の受容ができていること
障害を持った方が会社で長く働き続けるために、非常に重要なのが「障害の受容ができているか」ということです。仕事を続けていくにあたって、まったくストレスのない日々を送ることは難しく、障害の特性によって苦手としていることをしなければならない、といった局面もいちどならず訪れることかと思います。苦手なことが避けられない以上、そういった状況に陥ったときに、いかに対処するか、ということが大切です。自分の障害の特性を把握し、困りごとが起こった場合、どのように会社に相談するか、自分の中でどのようにストレスと向き合うか、などが想定できていれば、ピンチのときに挫折することなく、適切な対応を行うことができます。
(2)体調管理ができること
働き始めたころは、環境の変化、生活リズムの変化により身心ともに疲労を感じやすい日々が続きます。仕事から帰ってきて、自宅でゆっくり休んで翌日に備えなければならず、ついつい夜更かしして仕事に支障をきたしてしまう、といったことにならないように自分自身の体調管理をおこなう必要があります。体調の低下は精神面にもよくない影響を及ぼしますので、注意を払うことが大切です。ソースでも体力づくりのプログラムとしてウォーキングや体操の時間を設けております。
(3)企業、当事者双方でコミュニケーションが取れること
会社に入って働き始めると、上司や同僚、お客さんなど、さまざまな人と交流することになります。どんな仕事でも、人と連携をして業務を進めることとなりますので、最初のうちは気疲れを感じる日々が続きます。そんなときに、同僚や上司の力を借りることが必要です。困りごとを人に打ち明けられず、黙っているままでは自分を窮地に追い込んでしまったり、会社に損害を与えてしまう可能性もあります。ひとりで抱え込まず、悩み事を相談することが長期間にわたって就労を続けるための大切なポイントです。
5.就労移行支援事業所の活用方法・ミスマッチを防ぐためにできることってなに?
上記でご説明した、就労移行支援事業所が自分に合わないと感じる理由、企業が障害を持った当事者に求めることをふまえ、就労移行支援事業所選び、さらには就職活動を進めるうえでのポイントをまとめました。
(1)自分の障害や特性を知る
これまでご説明してきたとおり、自分の障害特性を知っていれば、就労移行支援事業所を利用さいのミスマッチを大幅に減らすことができます。気分の変調が大きい、集中力が散漫になる、人間関係に敏感である、といったようなご自身の特性、またそれについての実際の困りごとなどを、事業所を利用する前にスタッフに話し、どういったサポートが受けられるのかを確認すると良いでしょう。
(2)自分の経験・適性を知る
就労移行支援事業所はそれぞれに得意なジャンルを持っています。事務系のお仕事の訓練が充実している、デザイン系ソフトの講座がある、軽作業プログラムが豊富、といったように、就労移行支援事業所という名前でひとくくりにはできないほど、事業所内で行われているプログラムは多岐に渡っています。自分が就きたい業種に即して事業所を選ぶことが重要であり、そのためには自分が今までやってきたお仕事、身につけたスキル、経験を改めて振り返る必要があります。
(3)スタッフと目標に向かって何ができるのか相談する
就労移行支援事業所を利用するにあたって、スタッフとよく話すことが大切です。事業所の特長や就職実績、行われているプログラムについて、じっくり話を聞き、ご自身の体調や志望する職種、取得したい資格などを伝えてください。また、利用を開始してみてはじめて気づくことも多々あるかと思いますので、不明な点や疑問があれば適宜スタッフに相談いただければと存じます。相談する習慣を身につけることは、就労移行支援事業所選びにとどまらず、仕事選びにおいても重要です。
(4)長期的な目標をもつ
訓練を続けていると、自分が本当に就職できるのか、将来について不安を覚えることもあるかと思います。焦るあまりに事業所での訓練が無意味に感じられたり、どこでもいいから仕事に就きたい、と考えるようになるかも知れません。しかし、その場の判断で事業所を退所したり、あまり興味のない仕事に就いてしまったりすることは避けたほうがよいでしょう。短期的にはストレスから逃げられるかもしれませんが、訓練をやめたことを後悔したり、仕事に興味がもてずにすぐに退社してしまったりというような状況に陥っては、かえって体調やメンタルを悪化させてしまいます。就職活動をするうえで、疲れること、ストレスのたまることも経験するかと思いますが、長期的な視野を持ち、働きやすい職場で長期間働くために必要な準備をコツコツと整えてゆくことが大切です。
6.まとめ
自分にあった就労移行支援事業所を見つけることは、自分の特性、志望するお仕事の内容を考えることでもあります。ミスマッチを防ぐために、自己理解を深め、かつ事業所のスタッフとよく話し合い、支援内容が役に立つかどうか、じっくり吟味してみてください。そのために事業所を見学したり、プログラムを体験してみたりすることも重要です。ソースでも利用開始前にご興味のあるプログラムに参加していただき、訓練の内容や、事業所の雰囲気を知ってもらう機会を設けております。当事業所を選んでいただいたさいには、皆様がいきいきと活躍できる職場を探すために全力でサポートさせていただきます。お気軽にお問い合わせください。
岩崎 友寛
【実務経験】
就労移行支援スタッフ 4年 イベント・展示会ディレクター・編集
TV番組制作AP、AD、リサーチャー TVアニメーション・CM制作進行
広告印刷営業 WEBライター
【資格・検定】
Microsoft Office Specialist Exel
Photoshopクリエイター能力認定 Standard
Illustratorクリエイター能力認定 Standard
ビジネス数学検定3級
P検3級
<監修>佐古順子
サービス管理責任者
【資格・検定】
職場適応援助者(訪問型ジョブコーチ)
ビジネス実務マナー3級
メンタルヘルスマネジメント検定Ⅱ種
2018年~2022年 就職決定 のべ60名以上
ソース堺東 とソース三国ヶ丘は、
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